第三回<住職の義務>

最近、ある人の話を聞きました。「現代人は、権利ばかりを主張して、義務を果たしていない人が多い。」と。私が住職になって20年が過ぎ、住職としての「義務」が果たせているのだろうか考えさせられました。

あるご門徒のお家のお話ですが、仏壇の壁、天井の色が、茶色に変わってしまっています。何故かなと思い考えてみると、ご家族の姿が見えてきました。その家は、おじいさんおばあさんが毎朝お仏壇にお参りをされ、焼香されるのです。

おじいさんが亡くなっても、息子さん夫婦、お孫さんへと何十年と受け継がれている朝の習慣であるお焼香の煙が、壁の色を変えてしまったのです。

自分の権利は主張するけれど、なかなか義務の果たせない現代、祖父母から子へ、孫へと仏様に手を合わせ、感謝する人間としての義務を果たし、伝えているご門徒さんの姿に出遇いました。

こういうご門徒が増えていただけるお手伝いをすることが住職の義務ではないかと、思いを新たにしたことであります。